ヒラリー・クリントンは大統領になれるか?【占いの観点から分析】
本年3月19日、27日にブログで米国大統領選挙の予測を占いの観点で分析してきたが、当初、共和党はクルーズは金星人で真冬の0。
ルビオは倒産の運勢を持つので撤退。
民主党のサンダースは「傷官」が中心星。
浮気の年もあって敗退。
クリントンは本年より小王星、背信の年。
サンダースとの民主党大統領候補を決定する際にも、最後の最後までもつれて、やっと大統領候補として決定した。
そしてここに来てクリントンが一気に体調不安が表面化した。
たとえ大統領になれたとしても、メルケルと同じく次々と難題が降りかかり米国最大の試練が始まる可能性が高い。
リーマンショックから8年間、金融緩和バブルが今にも弾けてもおかしくない時期に入って来ている。
3月の時点で、占いの観点でトランプ有利と判断したが、ここに来て世論調査の結果がトランプ有利になって来た。
世界の株式市場の屋台骨はNY市場であるから安部政権並びに日本経済の前途も楽観できそうにない。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)9月19日(月曜日、祝日)通算第5028号
またまた大激戦、ヒラリー重病説でサンダースと交替熱望が48%
途中でレースを降りた場合、バイデン希望は22%、ティム・ケインは14%
世論調査で定評のあるラスムセン・レポートの最新結果がでた。
9月18日発表の数字では、ヒラリーが42%、トランプが40%で、僅差ながらヒラリー・クリントン元上院議員がリードしていることが分かった。
このあとを追うのは第三党「リバタリアン党」のグレイ・ジョンソン党首が8%と分かった。8%という数字は1980年のアンダーソン候補が獲得した7%より多く、当時のカーター現職大統領は、結果的にレーガンに敗北した。
依然としてヒラリーが僅差でリードしているが、同レポートの9月1日の世論調査発表ではトランプが逆転していた。
同時に「もしヒラリーが病気のため途中でレースを降板した場合、誰が民主党の候補者としてふさわしいか?」と問うたところ、最後まで党大会の指名を争ったバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)と交代するべきが、48%だった。
ついで現職副大統領のジョー・バイデンが22%、現在の公認副大統領候補であるティム・ケインは僅か14%であることが判明した。
ヒラリー重病説は過去二ヶ月にわたり全米を駆けめぐっており、実際に2014年に彼女は脳梗塞を患って後遺症が残っているとされる。
ヒラリー看護団は、「彼女は急性肺炎でしばらく選挙活動を休止していただけ」と重病説を否定していたが、世論調査機関は、はやくも「降板した場合の候補者は誰?」という調査を始めたわけである。
今後の日米関係は・・
第一回、第二回とクリントン、トランプの米国大統領選挙の討論会が終わった。
クリントン有利と全米のマスコミは書き立てるが、予断は全く予測出来ない。
フランシス、フクシマ氏の見解は、今後の深刻な日米関係を示唆している。
トランプ氏“善戦” 中間層、根強い不公平感
…フランシス・フクヤマ 米政治哲学者
読売新聞:2016年10月9日5時0分
1952年生まれ。
米コーネル大卒。
スタンフォード大民主主義・開発・法の支配研究センター所長。
9月下旬に行われた米大統領選挙の第1回テレビ討論会は、多くの人が既に知っていることを再確認する場となった。
民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官は経験を積んだ政治家で、現状を維持しようとしているのに対し、共和党のドナルド・トランプ候補は、ひどく怒りっぽく、宣伝文句を売り歩く行商人のような人物だと――。
1対1の初めてのテレビ討論でクリントン氏は、トランプ氏を追い詰め、大統領にふさわしい気質が明らかに欠けている理由が露呈するように仕向けた。第2回討論は9日夜(米国時間)に行われるが、1か月後の投票日まで、最終的にはやはり接戦になるだろう。
2016年大統領選の選挙戦は、米国の有権者に長年抱いてきた多くの想定を覆してきたと言える。トランプ氏が共和党候補となり、最新の世論調査でクリントン氏と肩を並べている事態を、米政治のベテラン観察者は、1年前には絶対に予想できなかった。だが、トランプ氏がここまで来たことも理解し得る。彼のような大衆扇動型候補者の台頭は、英国が国民投票で欧州連合(EU)脱退を決めたのと同様、決して驚くべきことではないからだ。
過去10年以上にわたり、米国でも欧州でも、政治エリートたちは大きな間違いを重ねてきた。米国の場合、イラクとアフガニスタンという二つの不人気な戦争に突入し、大恐慌以来最大の金融危機の下地を作り、庶民を傷つける一方で、自分たちは利益を得た。欧州では、共通通貨ユーロと、域内移動を自由化したシェンゲン協定という、課題が多い二つの制度が、米国と似たレベルの大混乱を引き起こしている。
これらの経済的動揺の深刻さを見れば、2008年の金融危機を契機に、もっと早くポピュリズム(大衆迎合)が主要政治勢力となってもおかしくなかった。むしろ驚くべきは、これほど長い時間がかかったことである。
米国のポピュリズムは、最大の人口集団である白人の労働者層が中核を占める。
特に男性労働者層は、製造業の仕事が過去20年間に減少するにつれ、実質所得の低下を味わってきた。
労働者の町は、麻薬中毒と家庭崩壊と犯罪の蔓延まんえんに苦しんでいる。失職の多くは、作業の自動化を始めとするテクノロジーの変化に起因する。業務の外部委託や移民との競争も問題に拍車をかけた。
大卒以上の学歴を持つ人々は所得が上昇し、グローバル化から恩恵を得ている。
一方で、高卒以下の人々は、底無しの生活苦に見舞われている。階級間の巨大な亀裂が生じているのだ。
外交姿勢 日本にも波紋
今年の米大統領選挙で、既成の政治エリート以外の「アウトサイダー」候補者たちが強い支持を得た要因は他にもある。
様々な強力な利益団体によって国政が縛られ、米政府が機能不全に陥っている問題である。連邦議会も、予算を通したり、移民制度改革や銃規制などの問題を決議したりすることができなくなった。
ただ、こうした現状を受けたポピュリズムの台頭は理解できるとしても、トランプ氏の成功は、簡単には説明しにくい。これほど自国の諸制度を知らず、政策や米国の外の世界に興味がない大統領候補を思い出すのは難しい。
トランプ氏が好調な理由は、「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」、つまり、アフリカ系米国人や女性、同性愛者、移民その他、特定の社会的グループを傷付ける発言には罰が与えられるという建前に、多くの米国民が飽きていることだろう。トランプ氏は、これらのグループを意図的に侮辱し続け、支持者の多くが、それに歓呼の声を上げたと言える。
もう一つの理由は、対抗馬の弱さだ。クリントン氏は確かに、元大統領夫人、上院議員、国務長官と、高度の経験を持つ政治家である。しかし、ゴールドマン・サックスなどから多額の金をもらった上、クリントン財団に寄付した出資者を優遇したとして、予備選で戦った民主党内左派のサンダース上院議員から糾弾された弱みを持つ。
また、不誠実さという点ではトランプ氏ほどではないものの、クリントン氏は、真実を語ることが難しい様々な争点を抱える。国務長官時代に私用メールを仕事に使ったお粗末な判断力は特に問題だ。
さらに、大統領として何を成し遂げたいのかを簡明な言葉で述べることができていない。クリントン政権の大構想を掲げれば、彼女が支援を約束した多くの支持者たちの主張と相いれず、気分を害するかもしれないからである。
過去60年、米国主導の自由な貿易と投資のシステムの下に、世界はますます緊密に統合されてきた。世界の富は、1970年から2008年にかけて4倍になったという試算もある。
だがそれは、国家間でも国内的にも公平に配分されてはいない。中国やインドの中間層の台頭はある程度まで、米国や日本など先進諸国の中間層に損失を与えながら実現した。技術革新は膨大な利益とともに、予期せぬ代償ももたらす。
加えて、ソーシャルメディアや一日も休まない24時間ニュース放送によって、政府や企業、教会、警察など諸制度の信頼度が損なわれている。ほとんど全ての先進国で既成エリートたちに対する反発が高まり、エスタブリッシュメント(既存支配層)への反旗を掲げる候補者たちが台頭しているのだ。
米国の場合、正しい指導者がいれば、大衆の怒りをうまく利用し、深刻な問題を抱える諸制度を修復することができるかもしれない。だが、不幸なことに、トランプ氏は事態を悪化させよう。クリントン氏が大統領に選ばれても、オバマ大統領と同じく、二極化した手詰まり状態に直面するだろう。
極めて危険なのは、外交政策の現状に対する攻撃である。
トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席などへの賛辞を表明する一方で、同盟諸国への現行の誓約から手を引くべきだと示唆している。そして、米国民の仕事を奪い、安全保障面で「ただ乗り」している国として、日本を名指しした。
トランプ氏のように米国の伝統的同盟国を軽視すれば、近隣諸国を脅かす領土的野心を持つロシアや中国は、ますます米国の決意を試そうとするだろう。
米国が世界で持つ影響力の基盤は、米国政治が民主主義と法の支配の模範として機能することだ。このモデルが大衆迎合国家主義に取って代わられれば、多くの国が倣いかねない。
かくして、米国民以外の人々にも極めて大きな影響をもたらすのが、米国の大統領選挙なのである。